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前世の恋 戦国時代の姫 星に想いと願いを 4

last update Last Updated: 2025-04-12 15:43:08

「待てこちらは違うではないのか? 外の竹に出てしまった」夕なぎは言う

「そう言えば・・二人とも見ない顔だな?屋敷の者か?」夕なぎは問う

とまどったまま 姫は三人を見つめている

「・・・」

「・・・・・・」

にやりと・・護衛の武者と女中は笑う

「今頃、気がついたのか!」

「お前たちも奴等の仲間だな!」 刀を二人に向けて斬りかかる若武者

キイイイン

刀がぶつかりあう!

そこに女中、女の間者が後ろから若武者の夕なぎ、に斬りかかる

ザクッ!「うっ!」

「きやああ!」姫が悲鳴を上げる

「・・ひ、姫 お逃げください! 右手に早く!」

斬りあいをしながら、若武者は叫ぶように言う

「あ・・」

「早く!」

「ごめんなさい!必ず助けを呼んできます」

姫は半泣きしながら 後ろ髪を引かれる思いで 走りだす

そうだわ、彼は…城で何度も会ったわ

そう、はにかんだような笑顔を見た

走り逃げながらも・・思う・・

ごめんなさい!死なないで!

私のせいで 死なないで!助けを呼んでくるわ 死なないで!心の中で叫んだ

足がもつれ、ばたりと草むらに倒れこむ

「あ・・」

「これは、これは姫さま」 君の悪い笑い声・・

草を踏む音 がさり

数人の暗殺者に取り囲まれる

「おや、おや、これはこれは」

「濡れ髪に、半裸姿に、衣が一枚、そそられる…ひひ」

「あ…!」

「おや、おびえているのかい?少し楽しませてもらっても、いいかもな」

「近くの古寺に連れて行って、しばらく後に、始末をすればよいのでは?」

「どれもよい…ふふふ」

「た、助けて!誰か!」

今にも邪な暗殺者たちの手が、のびてこようとした瞬間!

シュン!

1本の矢が 暗殺者に突き刺さった

「ぎゃああ!」

「誰だ!」

「!」

弓を持った一人の侍が立っている。

「我は 西の国の国主の跡取り、婚約した、その姫のいいなずけ」

あの人が?姫は思う

そこに立っていたのは、若君の身代わりとなった若者

空也であった。

「姫!ふせてください}

「あ、はい」姫は慌てて 草むらに伏せる

シュン!シュン!矢が次々と暗殺者たちを倒す

「姫!」 空也は姫を助けおこす

「もう大丈夫」

近くで、抱き寄せられて、その笑顔に 頬が赤くなる

「あ、私!」 「あ…」

半裸の姿に、今度は空也が赤くなる

「・・・・」

「あ!」 後ろからの殺気が!

姫をかばう空也

「誰だ!」

他の暗殺者が数人現れる

「お前
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    ざっと谷から降りてきて 行く手を阻む者 「盗賊か?」 「ああ!金目のものや女をもらう!」「野郎ども!」「おお!」「いくぜ!」だが  姫の御付きの者たちは手練れぞろい 簡単になぎ倒される。「我らに手を出そうとは、100年早いわ!」護衛の武者の一人が勝ち誇ったように言う「いくぞ!いまだ!」隠れ潜んでいた盗賊たちそこに隙をつくように後ろから 盗賊が襲いかかり 輿の中をバッと開ける 姫の顔を見るなり「高値がつきそうだな! 身代金か売り飛ばすか!」だが、そこに 「ぎゃああ!」「きゃあ!」 「姫!」  輿に襲いかかった盗賊を、一刀のもとに切り捨てられたのだった。 「あ!」先程の姫を見つめていた若武者 榊原 夕なぎ 「大丈夫です お守りいたします!」「有難う」姫は彼をみつめて、頬が赤くなるどうしよう、ドキドキしているわ どうしてかしら? きっと 盗賊たちに襲われそうになったからかしらねそして谷の上、木々の間から別の者たちが見つめている 一行を狙う者たち 矢を構えて 弓の弦に手をかける者 「待て!」 「? なぜ止めるのですか?」「ここでは まずい もう少し先だ」 「しかし」「ここでは奴等は木々の間に隠れてしまうだろうから」 「なるほど」 「まったく、奴等もこざかしい! 同盟など組んで、 我らの国を脅かすことになろうとはな」「いやはや まったくで ございまする」「西の国の国主の息子の一人・・養子にだされた方だが、我らの姫が嫁に行くことになってはいるのだが、話がこじれているようだ どうしたものか」「本来なら、我々の姫が、西の国の国主の花嫁となるはずだったのだが、あるいは側室では少々、立場が弱い」「なんの・・ひとまずは、あの姫さえ、消えてくれれば、それでよい」「実は間者も一行の中に潜ませておる」 「それはそれは、よい」 ニヤリと笑う暗殺者たち夕刻近くに、宿となる屋敷に到着する「ようこそ、おいで頂きまして・・たいした おもてなし も出来ませんが 何卒 ごゆるりとおくつろぎください 綾姫さま」 屋敷の主たる、大商人は、姫達に言う。大きな屋敷だが、飾り気のない造りである 離れの特別な小館に案内され ほっと一息をつく夕膳に用意されたのは 焼き魚と魚の煮付け

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    その頃、婚ぎ先の花婿の国では「ああ!若様!若様ああ!」「若!!」「なんたる事だ! 若様が亡くなられた これから花嫁をお迎えするはずだったのに」「流行病さえなければ、なんたる事だ!」まわりの者たちが、若き未来の主の骸を、取り囲む嘆きと悲嘆の声そっと、離れた場所から、その若様の御付きの者が見つめている。若い武者、小姓、護衛の一人 年の頃は その若様と変わらない。よい顔立ちの美貌そして、影武者や毒見役も彼の仕事のひとつだった風格のある老人、彼が、じいや、一人の男に耳打ちをした。「あい(はい)、承知いたしました」「籐野 空也よ、そちがしばらくの間は、若様じゃ」目を赤く泣き腫らしながら一人の老人が言ったのだった。「!それは どうゆう事でございましょうや?」「養子に出した弟君が戻られるまでじゃ」「弟君は、子のない親戚筋にぜひにと頼まれたが、こうなったっては仕方の無い事だ」「なにがなんでも、戻っていただく」「!」「弟君が戻られたら そちは遠出の最中に馬から落ちて亡くなったことにするそして、代わりに弟君に、花嫁と再び婚姻していただく」「親戚筋の領主は、前々から、空也、そちを欲しがっておった。あのときは 断ったが…いや、であれば…ほとぼりがさめて、戻ってきてもよしあるいは、他の主を捜してやろう、それとも別に望みがあれば叶えてやろう」「そちには、無理を頼むが、よろしく頼むぞ 空也」一人の風格のある老人が声をかける、この国の主早くに息子を亡くし 今また孫を失ったのだ。目元には涙が浮かんでいる。「!・・しかし御前さま、殿さま、それよりも弟君の帰還をお待ちしてからのほうがよいのでは、ありませんか?」御前さまと呼ばれた男はおもむろに答える「空也よ、他に手だてがない、どうしてもこの同盟は必要なのじゃ」「わかりました、そのお役目承ります」籐野 空也は 頭(こうべ)をたれた。「一大事でございます!」誰かが 慌てふためき、飛び込んできた。ささっと、おつきの者たちをはじめ、まわりの者たちが、若君の遺体を隠す。「何事だ?どうしたというのだ?」「我々の同盟を心よく思わぬ者たちが、婚礼の花嫁一行を襲うと!たった今 密偵から知らせが参りました!」「なんと!」「空也よ、そちが行くのじゃ、影武者の若君として、なんとしても、姫君を守るのじゃ!」

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第40話 前世の恋…日本、戦国時代の姫 星に想い、願いを

    前世なんて ありうるの?まだ中学生の葉月(はずき)は思う「どうしようかな〜どうせ 恋の告白なんて ダメ、ダメだもん」学校の廊下 彼をそっと見つめてる 少女 風がふいて、窓から見える校庭の木々がゆれていた。彼女はまだ知らない、前世で叶わなかった恋を 今度は、この世界で それは日本の戦国の世裏切りと戦の時代 そして、欲しいものは、力で全てを奪い去る。そんな中、小国の姫である、まだうら若き乙女は思うこの時代、いえ、国の領主の娘の婚姻は  政治の道具であるのは 国の行く末を思えば、当然のことだけどでも、やはり、相手はどんな方か、気になるのは当然のこと多くの奥方がいる年寄りかも知れないし あるいは 乱暴で怖い人かも知れない 怖い恐ろしい人かも知れない。それとも、そう 物語に出てくるような素敵な殿方かもそっと、ため息をつく藤崎家の姫として…私は誰に嫁ぐことになるのかしら? 「綾姫」呼ばれて、彼女は振り返る 「どうしたの?何かあった?」急ぎ呼ばれて、着物を整えてから 小走りに廊下を走り そして、皆が待つ、大広間へと向かう。「綾姫」「どうされたのですか?」「西にある、小国の領主の息子が花嫁を捜してる」「え?」「領主の息子の名は  前橋 延高(まえばしのぶたか)」「西の小国は、豊かで 強固な軍を持っている 大事なお役目ぞ」「私を?ですか?」「そうだ」何の感慨もなく、政治の駆け引きで、トントン拍子に話は進み 1月も立たぬ間に、婚礼の準備は整えられる「綾姫様、綺麗な着物ですわね」「・・・・」ぼんやりして、心はここにあらずの姫「そのように不安になられるのも、無理のないですが、綾姫?」「大丈夫でございますか?綾姫?」「え? あ、大丈夫」  そうね、大丈夫  聞いた評判は、そう悪くはなかったのですし 心配はいらないわね…。 そう、きっと大丈夫心の中で、言い聞かせるように、まだ少女の姫君は思う。「姫さま…」そっと障子の向こう側を見る…夕刻が過ぎて、夜の闇に染まり 今度は 夜の星達が輝いている。去年の七夕のときに、祈ったことを思い出す よき人と巡りあえますように…。 そののちの事…。旅立ちの日、輿(こし)に揺られて、輿から覗き見て 後ろを見つめる 遠ざかる生まれ育った城が小さく見える。先程

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第39話 時の魔法と琥珀色の酒

    大事な恋を失い そして仕事を失敗して、今では、琥珀色の酒におぼれて、人生を踏み間違えた男路地で寝ていると 男が一人、立つていた。「ん? なんだね、アンタ」「時間の魔法をかけようか 過去に戻って 人生をやり直してみないかね…代価は、そう、手に持っいる琥珀色の酒瓶1つ」男は笑う一瞬、姿が変わり、男の姿は魔法使いのローブ姿にも見えた「なんだい? まったく夢のような話だが そんな話はある訳がない、お前さんも酔っているんだね」「さて それはどうかな?」男は笑う「以前、小川で溺れかけた白いネコを助けただろう? あれは大事な友達のネコなんだ」「それ、はじめようか?」「あん?」「やり直すがいい、過去に戻り、自分の人生を!」男がそう言うと、何かの呪文を唱え、男は足元に現れた、魔法陣の光に包まれる。ぐるり、何かが酔いどれの男の周りを回転する いや、回転してるのは男自身かも知れない気がつくと雪の舞う街の中 いや、ここは 昔住んでいた街、今、現在の街じゃない自分の服も立派なスーツ姿だった。するりと一人の少女が彼の腕を捕らえて笑う「あ…アンナ?」 「どうしたのヨーゼフ」「結婚式の予約に行かないの?早く行きましょうよ」あるはずのはない、夢を見ている、これは過去の時間  失ったしまった恋の相手ある日 姿を消してしまった、私の愛しいアンナが其処にいた。風に乗って、誰かの声、囁く声過去の失敗の原因は分かっているだろう?間違えなければ、幸福な人生だ。大丈夫だ。

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第38話 1つの家族の嘆きと哀しみ…ユダヤ人の妻…ベルリンの壁

    大きな壁が一つ… 鉄条網にとり囲まれている。壁、父親と幼い少女が壁を見つめ 少女は涙を浮かべて一言「ママ」と呟くそう、第二次大戦が終結してドイツ この国は二つに分けられた 引き裂かれた故国麗しい広場だった場所…広場幼い少女は父親の大きな手を握りしめる 「ママは壁の向こうにいるの?」父親は帽子を直してから、淋しそうにうなずく「兄ちゃんも…?」ため息が一つこぼれる。 美しく豊かな国 先のもう一つの戦いに 大恐慌に…人々の心は荒れ果てナチの台頭、大虐殺… 長い戦争新婚時代を過ごした 美しいドレスデンの街は粉々に…子供の頃に訪れた 華やかで麗しいパリの街は 今はどうなったか人々は、未だに戦いの傷痕に 苦しんでいる。傷痕だけでなく 時に明日のパンも無事に手に出来るか ユダヤ人の妻ゆえに愛する妻や子供らと 各地を転々として…隠れように過ごした日子供の頃の 懐かしい友人たち 三人の友人は、今はどうなったか? 懐かしき、青春の日々ユダヤ人の友人は?彼は生き延びたのか?そして…今度はナチに協力した として、連れて行かれたドイツの幼馴染みの友人は?彼はどうなった?同じく学園で過ごした 留学生のアメリカ育ちの日系人… 伝え聞いた話だと 本国に帰還後 彼は軍に入り激戦地に…学者か教師になりたいと 言ってた彼は、何故、軍に?そして どちらの国の?どちらも彼の故郷だというに楽しかった学園の寮での 生活彼らは無事か?牢獄に繋がれる事など、幸いなかったものの明日の行く末など わからぬ身の上愛しい家族とは引き裂かれ ここは…壁の中愛しい人は壁の向こうに向こうから大きな銃声が響き渡る 壁から、逃れようとした 人々が、警備の兵士に撃ち殺される話など よくある話だ…幼い娘は、銃声におびえ、父親にしがみつく「大丈夫だよ」  彼ら親子は 何処かに立ち去り 長い月日 壁が壊される日まで鉄のカーテンと呼ばれる ベルリンの壁は在りつづけた 彼は、 ユダヤ人である妻の優しげな笑顔を思い出す…歴史は幾重にも繰り返す人は嘆きを繰り返しながら 希望を探すそれは 此処以外でも・・ どこでも 起こりうるのだから

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第37話 七夕祭りの約束

    夜の祭り、七夕祭りの夜に貴方は 恥ずかしそうに、はにかむように笑っていたんだ。七夕の竹に綺麗に飾りつけた色の鮮やかな短冊達が穏やかな夜風、夜の風にそよめき…揺れいた。その時には、更々と重なり合う音が鳴っていた。「また…来年も会えるといいな…」「明日からは就職で東京に行くのよね」浴衣姿の貴方は言葉を紡ぐ。「東京に会いに行きたいねでも、ごめんね、入院中の母さんの世話があるから」「分かっている、きっと必ずメールするね」「うん、約束」「この前、学校の先生に教わったネット電話スカイプだったけ、スカイプ、あれをやってみょうか?どうだい?」「スカイプね、ネット電話のやり方がまだ上手く出来ないわ」「大丈夫、お互いに無事に設定が出来たら、沢山、話せそうだよ、大丈夫だから」「うん」彼女は笑う…それは楽しそうに「向こうの…都会の東京の話を沢山ね、聞きたいわ」「沢山ね…沢山、きっと話すよ」僕は笑う「また来年…新年は僕は、きっとね、仕事の関係で戻って来れないから」「来年の夏に夏祭りに、この七夕祭りに…また」「ええ」彼女は笑う…。そして、ほんのりと浮かぶ彼女の瞳の涙 とても、とても綺麗な涙だった。淡い恋、それが僕たちの恋の約束

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